アイキャッチ:20時間で脱初心者するための9つの方法 780*500
「何かの分野において、”プロ”と呼べるレベルになるためには約1万時間かかると言われている。だが、”まぁまぁ良い”のレベルならどんな分野でも20時間で習得できる。」

これは講演番組TEDで、作家のジョシュ・カウフマン氏が講演した内容を要約したものです。

彼は実際に、まったく触ったこともなかったウクレレを20時間だけ練習し、講演の最中にウクレレメドレー15曲の弾き語りをやってのけました。20時間というと、1日2時間練習したとして合計10日間。10日で15曲です。すごいですよね。
(15曲すべて同じコード進行というカラクリはありますが)

管理人はウクレレを弾き始めて7年になりますが、これは誰でも出来ると思います。

ウクレレで”まぁまぁ良いレベル”というのも曖昧なので、具体的に次のような状態だとしましょう。

  • いくつかの曲が弾ける
  • 基礎的なテクニックが全て身についている
  • 次にどんな練習をすべきか自分で決められる

適切な練習方法さえ知っていれば、このレベルには誰でも20時間で到達できます。それほどウクレレは初心者に優しい楽器です。

このページでは、ウクレレをまったくのゼロから始めて脱初心者と呼べるようになるために、最初に取りかかるべき練習方法を解説します。

ウクレレ初心者の練習の流れ

ウクレレを買ってから、初心者を脱却するまでの練習の流れはおおよそ次のようになります。

  1. ウクレレの各部位の名称をざっくり知る
  2. チューニングに慣れる
  3. 正しい構え方でウクレレを持つ
  4. 試しにドレミを弾いてみる
  5. コードストロークを習得する
  6. 正しい手入れの方法を覚える
  7. TAB譜が読めるようになる
  8. リズミカルなストロークを習得する
  9. アルペジオを習得する

この記事では、それぞれのステップの簡単な解説と、その練習にかかる時間を紹介しています。

それぞれの項目には、具体的な練習方法を解説している参考記事のリンクも貼っていますが、まずはこの記事を通しで読んで、全体の流れを把握してからそれぞれの練習に順に取り掛かることをおすすめします。

【準備編】 まずは初心者にぴったりなウクレレを手に入れよう

ウクレレのサイズ 780*500

9つのステップに入る前に、あなたがもしまだウクレレを持っていないのであれば、まずはウクレレを選ぶところからスタートですね。

ウクレレには4つのサイズがあり、材料となる木材にもたくさんの種類があります。

それぞれに音質や使い心地が異なるのですが、初心者におすすめできるウクレレの基準はある程度決まっていて、当サイトではKalaというウクレレブランドのDVD教本セットをおすすめしています。

Kalaはウクレレの本場アメリカ(ハワイ含む)で最も売れているウクレレメーカー。安価でありながら、他メーカーの同じ価格帯の商品と比べて細い部分の品質がとても高いのが特徴です。

紹介しているセットは、4つのサイズの中でもダントツで売れているソプラノサイズのkala製ウクレレのセットです。チューナーやクロスなどの練習で必ず必要になる周辺グッズも一緒に付いてくるのも手間が省けて良いです。なにより付属のDVD教本がすごくわかりやすいのがおすすめ。

【ステップ1】ウクレレの各部位の名前を知っておく

ウクレレの各部名称 780*500

ステップ1の練習時間:30分

ウクレレを手に入れたら、なによりもまず手に取って音を鳴らしてみてください。

あなたのウクレレライフが始まる大切な瞬間です。適当でも遊びでもいいですから、自分のウクレレの音を楽しんでみることをおすすめします。

そしてひとしきり満足したら、さっそく本格的な練習開始!!・・・と、その前に。まずはウクレレの各部位の名前と役割を軽ーく見ておきましょう。

今はまだひとつひとつの名前をしっかり覚える必要はありません。

なんとなく流し見しておいて、後でその名前が出てきたときに「そういえばそんなのあったな」と思い出せれば十分です。そのつど参考記事を見れば済む話ですし、そのうち勝手に覚えます。

【ステップ2】チューニング

ウクレレのチューナー道具
ステップ2の練習時間:50分

チューニングとは、弦の音程を決められた音にあらかじめ調律しておくことです。左手でどこも押さえていない状態で、ウクレレの音が1弦=ラ、2弦=ミ、3弦=ド、4弦=ソになっていなければなりません。

ウクレレの練習の前には、必ずチューニングが必要です

ウクレレは他の弦楽器に比べてもチューニングが狂いやすい部類です。そしてチューニングのズレた演奏は聴くに耐えないもの…

正しいチューニングの方法を覚えて、練習前に毎回行う習慣をつけましょう。

【ステップ3】ウクレレの構え方

写真1. 基本の持ち方(バストアップ) 780*500
ステップ3の練習時間:50分

それではさっそく正しい音の出し方を説明します!…と言いたいところですが、正しく音を出すためには、まず正しくウクレレを構える必要があります。

ウクレレと胸の間には少しスペースを開け、右手の前腕でウクレレのお尻の部分をしっかり支えるのがコツです。ウクレレを安定して演奏することができます。

結局は自分が弾きやすい構え方で弾くのが一番なので、構え方にこだわりすぎる必要はありません。が、「基本の型がある」ということは知っておくべきでしょう。基本の型には基本と呼ばれるゆえんがあります。腕の動かしやすさやウクレレの安定性など、いろいろと研究してみましょう。

【ステップ4】試しにドレミを弾いてみる

ウクレレで試しにドレミを弾いてみる

ステップ4の練習時間:2時間50分

ウクレレをしっかり構えたら、試しに音を出してみましょう。ウクレレは、右手で弦を弾くことによって音を出します

音の出し方は大きく分けると次の3つ。

単音弾き
親指、または人差し指や中指を使って、弦を一本ずつ・一音ずつ弾くこと。主旋律やメインフレーズに使われます。
ストローク
右手を上下に一気に振り抜いて、4本の弦全てを同時に鳴らすこと。弾き語りの伴奏からソロウクレレまで使われ、ウクレレ演奏の基本となる奏法です。
アルペジオ
複数の弦を、一本ずつ流れるように順番に弾くこと。それぞれの音の余韻が重なり合うように弾くことで、美しく情緒のある印象を出せます。静かな曲によく使います。

【演奏動画】

アルペジオは難易度が高いので後にまわして、まずは基本である親指の単音弾きで弦を弾いてみてください。

右手で弦を鳴らす感覚が分かったら、次は左手を使っていろいろな音程を出す方法です。

ウクレレの長く伸びた部分をネックといい、さらにその前面の部分を指板(フィンガーボード)といいます。ウクレレは、左手の指で指板の上の弦を押さえることで、いろいろな音程が出せます

下の画像は、指板のどこを押さえればドレミの音程が出るかを表したもの。

ウクレレの音階配置(ドレミ)

この「弦を押さえる」というのが、美しい音をだすためのとっても重要なポイント。しっかり練習しましょう。

【ステップ5】コードストロークを習得する

右手で音を出してみる 780*500

ステップ5の練習時間:5時間50分

コードストロークは、ウクレレ初心者にとって最初にして最大の難関です。

コードとは、和音をアルファベットで表記したもの。和音とは複数の音を重ねて組み合わせたもののことですね。そしてストロークは、それらの弦を同時に鳴らすことでした。

コード演奏は、左手で複数の弦を一度に押さえる必要があります。たとえば次の画像は、「G」と呼ばれるコードの押さえ方。

G

このコードの押さえ方を覚えたり、コードからコードへの指を移動させるのが、初心者にとって一番習得に時間のかかる部分なのです。

とはいえこれは誰もが必ず苦戦する部分であり、誰もがいつのまにかできるようになっている部分。

なによりコード演奏ができるようになると一気にウクレレが楽しくなります。

まずこれが出来るようになると出せる音の臨場感が増しますし、いくつかのコードを覚えれば簡単な曲も弾けるようになります。

管理人も初めてうまくコードを鳴らせた時はものすごく興奮したのを覚えています。続けていれば絶対にできるようになるので、まず諦めないことを目標にしましょう。

【ステップ6】ウクレレの手入れの仕方

7. ムラなく磨き上げる 780*500
ステップ6の練習時間:30分

ここらで少し休憩しましょう。ここまでのステップは何日かに分けて練習しても良いですし、1日でまとめてやっても良いです。自分のウクレレに愛着もわいてくる頃でしょう。ですがそれと同時に、ウクレレに汗や手アカがついてくる頃でもあります。

ウクレレの手入れの仕方についても知っておきましょう。

上の記事では、

  • 日々のウクレレの手入れの仕方
  • 数ヶ月に一回必要なきちんとした手入れの仕方
  • を紹介しています。

    日々の手入れは、練習後に楽器専用のクロス(布)でウクレレについたヨゴレをさっと拭いてあげるだけでOKです。

    汗や手アカは放置しておくと空気中のホコリを吸い寄せ、さらにヨゴレがたまってしまいます。時間のたったヨゴレは落ちにくく、ひどくなると音質にも影響します。

    しっかりした手入れはもう少し先で大丈夫なので、まずはご自慢のウクレレをさっとひと拭きしてあげてください。

    【ステップ7】TAB譜の読み方

    ドレミTAB譜 780*500
    ステップ7の練習時間:1時間

    ここまでで、「ウクレレの基本的な弾き方」は習得したと言って良いです。ここからは自分の好きな曲のコードやメロディに挑戦して、やる気を保ちながら、できることを増やしていくのが良いでしょう。

    でも、好きな曲に挑戦すると言ってもどうやって?

    そうです。楽譜を手に入れる必要があります。

    楽譜そのものは書店やネットで簡単に手に入りますが、「そもそも楽譜が読めない」とお困りかもしれませんね。大丈夫です。あのオタマジャクシのような五線譜、あれはウクレレには必要ありません。なぜなら、5分で覚えられるウクレレ専用の楽譜があるからです。

    TAB譜(タブふ)とは、ウクレレの4本の弦と指板上の押さえるべき場所を、線や数字で簡単に表したもの。どこを押さえるかが、ウクレレと重ね合わせながら視覚的に理解できるので、五線譜よりよっぽど簡単です。

    またTAB譜が読めるようになると、フレーズを構成するひとつひとつの音の長さを正しく把握することができます。これはフレーズの正しいリズムとタイミングを知るためにとても重要なポイント。

    どちらかというと技術よりも知識寄りのステップですが、必ず押さえておいてほしい内容です。

    TAB譜の読み方を覚えたら、次に習得しておきたい二つのテクニックがあります。それは「8ビートストローク」と、残しておいた「アルペジオ」です。

    【ステップ8】8ビートストローク

    ステップ8 パターン③-2 780*500
    ステップ8の練習時間:5時間

    ステップ3で右手のストロークを練習しましたが、4分音符や8分音符を一定のリズムで弾くだけでした。しかし実際の楽曲は、いろいろな長さの音符が組み合わさったリズミカルなフレーズで成り立っています。

    とくに8ビートストロークと呼ばれる、4分音符と8分音符の組み合わせでできたストロークパターンは、とてもたくさんの曲で使われている定番ストローク。定番ながら簡単でもあるので、初心者にはもってこいの練習フレーズです。

    参考記事では、8ビートストロークの練習に併せて、TAB譜を見ながら演奏する方法を解説しています。これができるようになれば、どんな曲でも自発的に練習できるようになりますからね。

    加えてこの記事では、安定したリズムでストロークを弾くコツも紹介しています。

    どんなに簡単なフレーズでも、安定したリズムで演奏するだけでプロっぽく見えてしまうものです。8ビートストロークに限らず、ウクレレ演奏全般を上達させる内容になっているので、ぜひ参考にしてください。

    【ステップ9】アルペジオ

    右手の配置1 780*500
    ステップ9の練習時間:3時間

    それでは最後のステップ、アルペジオです。

    正直言って、8ビートストロークが出来た時点で初心者レベルは卒業と言っても良いかもしれません。実際アルペジオは他のテクニックよりは少し難易度が高く、20時間以内で習得するにはそれなりの集中力が必要です。

    しかし、アルペジオはウクレレプレーヤーなら必ず試したくなるテクニックですし、実際に弾いてみるともっとも楽しい奏法のひとつ。「絶対に20時間以内に習得しなければ!」と気負う必要もありませんので、楽しみながら挑戦してみましょう。

    改めてアルペジオとは、右手の指をバラバラに動かして、何本かの弦を流れるように順番に弾くことです。

    こう聞くと難しそうですが、どの指でどの弦を弾くのかさえ先に決めておけば実際はとてもシンプル。動かすのは指先だけですし、手首も固定できます。

    とはいえやはり、左手でコードを押さえつつ右手の指を動かすのはなかなか神経を使うものです。関連記事で紹介しているような参考フレーズを使って、簡単なものから徐々に慣れていきましょう。

    アルペジオまで出来るようになれば、文句なしで一人前のウクレレプレーヤーです。

    20時間の練習スケジュール

    練習スケジュール 1920*960

    仮の練習スケジュールを紹介します。

    ステップ3以降の練習は何日かに小分けにして、他のステップと重複させながら練習すると良いでしょう。

    楽器は1日に詰め込んで練習するよりも、何日かに分けたほうが上達しやすいです。1日にまとめて4時間練習するくらいなら、1時間の練習を4日間行ったほうが良い、という意味です。

    人間の脳は、睡眠をはさむことで情報を整理します。おそらく手や指の神経の成長もこれにあてはまるのでしょう。昨日弾けなかったことが、1日休みを挟んだらいきなり弾けるようになっていた、なんてこともよくありますから。

    そういう意味でも1日あたりの練習時間は2時間が限度ではないでしょうか。今回の参考スケジュールも、1日に2時間だけ練習時間がとれる前提にしています。そもそも最初から何時間もぶっつづけで弾いたら、指が痛くなって練習どころじゃなくなりますしね。

    難しければDVD教本に頼るのもアリ

    いかがだったでしょうか。

    ウクレレ初心者がどのように練習を始めたらよいかを駆け足で説明してきましたが、もしかしたら「読むだけで疲れてしまった」かもしれません。

    できるだけわかりやすく書くようにつとめたものの、「ブログ」という媒体の性質上、細かな技術を文章で伝えるにはやはり限界があります。

    腰を据えて文字とにらめっこしながら練習するのは苦手かもなぁ・・・というあなたには、むしろ冒頭で紹介したようなDVD教本がおすすめです。

    私もウクレレを買ったあと、最初はいくつかの冊子タイプの教本を買いました。それらを見ながら練習しましたが、文字だけだと頭に入ってこず、結果としてどうにもヤル気が起きませんでした。そんなときにこのDVD教本のサンプル動画を見て、なんとなく購入しました。

    本当に良かったのが、映像を使った練習だと、目で見て耳で聴いた内容をそのまま真似するだけというところ。あまり考えるエネルギーを使わなくても感覚的に練習ができてしまうので、「映像に合わせて練習してたら、いつのまにか全部弾けるようになってた」ということも少なからずありました。

    とくにこのDVD教材に関しては、

    • 手元を複数の角度から撮影している
    • かなり初歩的な単語でも必ず説明している

    など、初心者に「極限まで優しく」作られています。このサイトでくり返し言っている、”基礎を大事にする”を体現している教材です。

    ウクレレ本体のセットだけでなく、DVD教本単体でも販売されているので、気になる方はチェックしてください。レッスンに通うのの3倍安いです。

    まとめ

    最後に、これを言うと元も子もないのですが…、そもそも20時間で脱初心者を目指す必要はまったくありません。

    そりゃ早く上達するに越したことはないです。でも、人によっては良い音を追及してステップ3だけひたすら練習したり、キレのあるストロークを極めるためにステップ7だけ何時間も練習したい人もいるでしょう。その結果コードの押さえ方やアルペジオまで20時間でたどり着かなかった、ということもあるはずです。

    でも楽器の練習は楽しんだもん勝ちです。あなたのやりたいようにやってください。その結果20時間を超えてしまってもいいじゃないですか。これからはじまる無限のウクレレライフに比べれば、一瞬のような時間です。

    このページの目的は「もっとも効率のよい練習方法」や「絶対におさえるべき基礎練習」をお伝えすることです。

    「出来るだけ早く上手くなりたい!」と思うあなたにも、「ゆっくりじっくり練習したい」というあなたにも、このページが助けになると信じています。

    あるいは、これから練習を続けていくなかで「上達が遅い」と感じることもあるでしょう。そんなとき、たいていの原因は「基礎練習の不足」です。

    なんだか行き詰っているな、と感じた時にもこのページに戻ってきていただければ幸いです。